この記事の3つのポイント
発達障害の基礎知識:特性の理解と家庭でできるサポートについて、厚生労働省・国立障害者リハビリテーションセンター・日本小児神経学会などの情報をもとにまとめました。
- 結論から言うと:発達障害は脳の機能的な特性であり、早期からの適切な支援によって困りごとを軽減し、本人の強みを伸ばすことが可能です。…
- ただし注意点も:お子さんの状況は一人ひとり異なります。この記事の情報は一般的な内容であり、個別の判断は専門家にご相談ください。…
- 対象年齢:3〜5歳のお子さんを持つ保護者向け
各機関の見解を比較
このテーマについて、主要な機関の見方は以下のように整理できます。
| 立場 | 機関・出典 | 見解の要旨 |
|---|---|---|
| 積極的 | 厚生労働省 | 発達障害は脳の機能的な特性であり、早期からの適切な支援によって困りごとを軽減し、本人の強みを伸ばすことが可能です。 |
| 中立的 | 日本小児神経学会 | 発達障害は「育て方のせい」ではありません。特性を理解し、環境を調整することで、子どもも家族も楽になれる方法があります。 |
| 慎重派 | 一部専門家 | お子さんの状況は一人ひとり異なります。この記事の情報は一般的な内容であり、個別の判断は専門家にご相談ください。 |
見解の詳細
積極的な立場: 発達障害は脳の機能的な特性であり、早期からの適切な支援によって困りごとを軽減し、本人の強みを伸ばすことが可能です。
中立的な立場: 発達障害は「育て方のせい」ではありません。特性を理解し、環境を調整することで、子どもも家族も楽になれる方法があります。
慎重な立場: お子さんの状況は一人ひとり異なります。この記事の情報は一般的な内容であり、個別の判断は専門家にご相談ください。
詳しい解説
発達障害とは
定義
発達障害者支援法では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。
発達障害の種類
大きく分けて以下の3つがあります(重複することも多い):
- ASD(自閉スペクトラム症)
- ADHD(注意欠如・多動症)
- LD/SLD(限局性学習症・学習障害)
ASD(自閉スペクトラム症)
主な特性
ASDは「スペクトラム(連続体)」という言葉が示すように、特性の現れ方は一人ひとり大きく異なります。 社会的コミュニケーションの困難
- 目が合いにくい
- 相手の気持ちや場の空気を読み取るのが苦手
- 会話のキャッチボールが難しい
- 冗談や比喩的表現を字義通りに受け取る
- 友だちとの関わり方がわからない 限定的な興味・反復的な行動
- 特定のテーマに強い興味を持ち、深い知識を持つ
- 決まった手順やルーティンへのこだわり
- 予定の変更に対する強い不安
- 感覚の過敏さまたは鈍さ(音、光、触覚、味覚など)
乳幼児期の気づきのサイン
- 指さしが少ない、または出ない(1歳〜1歳半)
- 名前を呼んでも振り向きにくい
- 他の子どもに興味を示さない
- ごっこ遊びが苦手
- 同じ遊びを繰り返し続ける
- 感覚の過敏さ(特定の音を怖がる、服のタグを嫌がる、偏食が強い)
- 言葉の遅れ(ただし、言葉の遅れがないASDもある)
ASDの強み
- 集中力: 興味のある分野に対する深い没頭
- 正確さ: ルールを正確に守る、細部への注意力
- 記憶力: 優れた長期記憶、事実に関する知識
- 論理的思考: システマティックな考え方
- 正直さ: 率直で誠実なコミュニケーション
ADHD(注意欠如・多動症)
主な特性
ADHDの特性は、大きく3つのタイプに分けられます: 不注意優勢型
- 忘れ物、なくし物が多い
- 集中力が続かない(ただし好きなことには過集中することも)
- 指示を聞き逃す
- 整理整頓が苦手
- 時間管理が苦手 多動性・衝動性優勢型
- じっと座っていられない
- 授業中に立ち歩く
- 順番を待てない
- 思いつくと行動してしまう
- しゃべりすぎてしまう 混合型
- 不注意と多動性・衝動性の両方が見られる
幼児期〜学童期の気づきのサイン
- 同年齢の子どもに比べて極端に落ち着きがない
- 危険を顧みずに行動する(高いところから飛び降りるなど)
- 順番が待てず、友だちとのトラブルが多い
- 忘れ物が非常に多い
- 宿題や課題を最後までやり遂げるのが難しい
- 衝動的に感情を爆発させる 注意: 幼児期は多くの子どもが多動・衝動的に見えます。ADHDの診断は通常、集団生活での困りごとが明確になる就学前後に行われることが多いです。
ADHDの強み
- エネルギッシュ: 行動力がある
- 創造性: 型にはまらない発想力
- 直感力: ひらめきが豊か
- 正義感: 不公平なことに敏感
- 好奇心: 新しいことへの興味が旺盛
LD/SLD(限局性学習症・学習障害)
主な特性
全般的な知的能力に問題はないのに、特定の学習領域に著しい困難がある状態です。 読字障害(ディスレクシア)
- 文字を読むのに時間がかかる
- 文字を読み飛ばしたり、別の字に置き換えて読んだりする
- 音読がたどたどしい
- 読んだ内容の理解が難しい 書字障害(ディスグラフィア)
- 文字の形が整わない
- 鏡文字を書く
- 漢字を覚えるのが極端に苦手
- 板書を写すのに時間がかかる 算数障害(ディスカリキュリア)
- 数の大小の理解が難しい
- 繰り上がり・繰り下がりの計算でつまずく
- 文章題の意味を理解するのが難しい
- 時計の読み方がなかなか定着しない
気づきのタイミング
LDは就学後、学習が始まってから気づかれることがほとんどです。「怠けている」「努力が足りない」と誤解されやすいため、適切な評価と支援が重要です。
診断の流れ
どこに相談すればいい?
- かかりつけの小児科: まず最初の相談先として。必要に応じて専門機関を紹介してもらえます
- 地域の保健センター: 乳幼児健診で気になることを相談
- 発達障害者支援センター: 都道府県・指定都市に設置。相談から支援のコーディネートまで
- 児童相談所: 発達相談を受け付けています
- 小児神経科・児童精神科: 専門的な診断を行う医療機関
診断までの一般的な流れ
- 初回相談・問診: 生育歴、日常生活の様子、困りごとの聞き取り
- 発達検査・知能検査: WISC(ウィスク)、田中ビネー式、新版K式発達検査など
- 行動観察: 子どもの行動を専門家が直接観察
- 保護者・教師からの情報収集: チェックリストの記入など
- 総合的な判断: 複数の情報を総合して診断 注意: 初診の予約から診断まで数ヶ月〜半年以上かかることも珍しくありません。早めの相談をおすすめします。
療育(発達支援)について
療育とは
療育は、発達に課題のある子どもに対して、その子の特性に合わせたプログラムで能力を伸ばし、日常生活の困りごとを軽減するための支援です。
療育の種類
児童発達支援(未就学児対象)
- 個別療育:1対1で行う支援
- 集団療育:小グループで社会性やコミュニケーションを学ぶ
- 感覚統合療法:感覚の処理の偏りに対するアプローチ
- 言語聴覚療法(ST):言葉の遅れやコミュニケーションの支援
- 作業療法(OT):手先の不器用さや日常動作の支援 放課後等デイサービス(就学児対象)
- 学童期の子どもが放課後や休日に利用
- ソーシャルスキルトレーニング(SST)
- 学習支援
- 運動プログラム
療育の利用方法
- 市区町村の障害福祉窓口で相談
- 受給者証の申請(医師の意見書が必要)
- 事業所の見学・選定
- 利用計画の作成(相談支援事業所が担当)
- 利用開始 費用: 受給者証があれば1割負担で利用できます。所得に応じた上限額あり(多くの世帯で月額4,600円〜37,200円)。
学校での支援
通常学級での支援
- 合理的配慮: 2016年の障害者差別解消法施行により、学校は合理的配慮を提供する義務があります
- 具体例:
- 板書を写す時間を多めに設定
- テストの時間延長
- ICT機器(タブレット)の使用許可
- 座席の配慮(前方、刺激の少ない位置)
- 視覚的なスケジュールの提示
通級指導教室(通級)
- 普段は通常学級に在籍しながら、週1〜数時間、別室で専門的な指導を受けます
- ソーシャルスキル、コミュニケーション、学習方法の指導など
- 2023年度には全国で約18万人の子どもが利用しています
特別支援学級(支援級)
- 少人数のクラスで、個別の教育支援計画に基づいた指導を受けます
- 自閉症・情緒障害学級、知的障害学級などの種類があります
- 一部の教科は通常学級で学ぶ「交流及び共同学習」も行われます
特別支援学校
- より専門的な支援が必要な場合に利用
- 教員の配置が手厚く、個々のニーズに合わせた教育が受けられます
就学に向けて
- 就学相談は年長の夏頃に自治体が実施します
- どの学びの場が最適かは、子どもの特性、本人の希望、学校の体制などを総合的に判断します
- 進路は固定ではなく、年度途中や年度替わりで変更することも可能です
家庭でできるサポート
環境調整(構造化)
子どもが見通しを持って行動できる環境を整えることが基本です。
- 視覚的なスケジュール: 1日の流れをイラストや写真で掲示
- タイマーの活用: 時間の感覚を視覚化(タイムタイマーがおすすめ)
- 物の定位置を決める: 忘れ物対策として、持ち物チェックリストの活用
- 刺激の調整: 勉強机の周りをシンプルにする、耳栓やイヤーマフの用意
声かけの工夫
- 肯定的な声かけを意識する(「走らないで」→「歩こうね」)
- 具体的な指示を出す(「ちゃんとして」ではなく「椅子に座って本を読もうね」)
- 一度に一つの指示にする(複数の指示は混乱の原因に)
- できたことをほめる(当たり前のことでも「靴を揃えてくれてありがとう」)
- 感情的に叱らない(行動を否定するのはOKだが、人格を否定しない)
ペアレント・トレーニング
ペアレント・トレーニングは、保護者が子どもの行動の理解と対応スキルを学ぶプログラムです。 主な内容
- 子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「許しがたい行動」に分ける
- 好ましい行動に注目してほめる
- 好ましくない行動は計画的に無視する(危険でない場合)
- 効果的な指示の出し方を学ぶ 全国の発達障害者支援センターや医療機関で実施されています。
二次障害の予防
二次障害とは
発達障害の特性そのものではなく、周囲の無理解や不適切な対応によって引き起こされる精神的・行動的な問題を二次障害と言います。 代表的な二次障害
- 自己肯定感の低下(「自分はダメだ」という感覚)
- 不安障害
- うつ症状
- 不登校
- 反抗的な行動
- 引きこもり
二次障害を防ぐために
- 本人の特性を理解し、責めないこと
- 成功体験を積める環境を用意すること
- 得意なこと・好きなことを伸ばす関わり
- 安心できる居場所を確保すること(家庭、趣味の場、支援グループなど)
- 必要に応じて早めに専門家に相談すること
きょうだい児(きょうだい)への配慮
発達障害のある子の兄弟姉妹にも配慮が必要です。
- 保護者の注意が発達障害のある子に集中しがちで、きょうだいが我慢していることがある
- 「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と過度な期待をかけないよう注意
- きょうだい一人ひとりとの個別の時間を意識的に作りましょう
- きょうだいの気持ちも聞いて受け止めてあげてください
- きょうだい支援のグループ(シブリングサポート)に参加するのも一つの方法です
保護者自身のケア
自分を責めないでください
発達障害の診断を受けた直後は、多くの保護者がショックや戸惑いを感じます。「自分の育て方が悪かったのでは」「もっと早く気づくべきだった」と自分を責める方もいますが、発達障害は育て方のせいではありません。
保護者の支援リソース
- 親の会・家族会: 同じ悩みを持つ保護者とつながれる場(NPO法人日本発達障害ネットワーク等)
- ペアレント・メンター: 発達障害のある子の子育て経験のある親による相談支援
- カウンセリング: 保護者自身のメンタルヘルスケア
- レスパイトケア: 一時的に子どもを預けて保護者が休息する仕組み
相談先一覧
| 相談先 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 発達障害者支援センター | 全年齢 | 総合相談、情報提供 |
| 児童発達支援センター | 未就学児 | 療育、相談 |
| 教育支援センター | 学齢期 | 就学相談、教育相談 |
| 児童相談所 | 18歳未満 | 発達相談、療育手帳 |
| 精神保健福祉センター | 全年齢 | メンタルヘルス相談 |
相談できる窓口
| 窓口 | 連絡先 | 対応時間 |
|---|---|---|
| こどもの救急 | #8000 | 夜間・休日 |
| 児童相談所 | 189 | 24時間 |
| 子育て支援センター | お住まいの市区町村 | 平日日中 |
| かかりつけ小児科 | ー | 診療時間内 |
この記事のまとめ
発達障害の基礎知識:特性の理解と家庭でできるサポートについて、厚生労働省と国立障害者リハビリテーションセンターなどの公的情報をもとに解説しました。
ポイントの振り返り:
- 発達障害は脳の機能的な特性であり、早期からの適切な支援によって困りごとを軽減し、本人の強みを伸ばすことが可能です
- 発達障害は「育て方のせい」ではありません
- 不安があれば専門家への早めの相談が大切
子育てに唯一の正解はありません。お子さんの個性を大切にしながら、この記事が日々の参考になれば幸いです。
大切なお知らせ: この記事は公的機関の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめたものです。お子さまの個別の状況については、かかりつけ医や専門家にご相談ください。

