この記事の3つのポイント
不登校への向き合い方:原因理解と家庭でできるサポートについて、文部科学省・こども家庭庁・国立成育医療研究センターなどの情報をもとにまとめました。
- 結論から言うと:教育機会確保法の成立により、学校以外の学びの場も正式に認められ、不登校の子どもへの支援の選択肢が広がっています。…
- ただし注意点も:無理に登校を促すことは逆効果になりうるため、子どもの気持ちを尊重しつつ、専門家と連携した対応が推奨されています。…
- 対象年齢:11〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
各機関の見解を比較
このテーマについて、主要な機関の見方は以下のように整理できます。
| 立場 | 機関・出典 | 見解の要旨 |
|---|---|---|
| 積極的 | 文部科学省 | 教育機会確保法の成立により、学校以外の学びの場も正式に認められ、不登校の子どもへの支援の選択肢が広がっています。 |
| 中立的 | 文部科学省 | 不登校の背景は多様であり、原因をひとつに特定できないケースが多いとされています。子ども一人ひとりに合った対応が求められます。 |
| 慎重派 | 一部専門家 | 無理に登校を促すことは逆効果になりうるため、子どもの気持ちを尊重しつつ、専門家と連携した対応が推奨されています。 |
見解の詳細
積極的な立場: 教育機会確保法の成立により、学校以外の学びの場も正式に認められ、不登校の子どもへの支援の選択肢が広がっています。
中立的な立場: 不登校の背景は多様であり、原因をひとつに特定できないケースが多いとされています。子ども一人ひとりに合った対応が求められます。
慎重な立場: 無理に登校を促すことは逆効果になりうるため、子どもの気持ちを尊重しつつ、専門家と連携した対応が推奨されています。
詳しい解説
不登校の現状を知る
数字で見る不登校
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると:
- 小中学校の不登校児童生徒数は約30万人(2023年度)
- 10年前と比べて約2倍に増加
- 小学生よりも中学生の方が多いが、小学生の増加率も顕著
- 不登校の定義は「年間30日以上の欠席」(病気・経済的理由を除く) 増加の背景には、社会全体の変化(コロナ禍の影響、SNSの普及、学校に対する価値観の多様化)があるとされています。「昔より弱くなった」のではなく、不登校を認知・報告する仕組みが整ってきたことも一因です。
不登校の背景にあるもの
不登校の理由はさまざまで、ひとつに特定できないケースが多いとされています。複数の要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。
学校生活に関すること
- 友人関係のトラブル: いじめだけでなく、「なんとなく居場所がない」「グループに入れない」という漠然とした孤立感
- 学業の困難: 授業についていけない、テストへのプレッシャー、発達特性による学びにくさ
- 教師との関係: 特定の先生が怖い、指導スタイルが合わない
- 学校の環境: 騒がしい教室が辛い(感覚過敏)、給食が苦痛、集団行動への抵抗感
家庭に関すること
- 家庭環境の変化(引っ越し、転校、きょうだいの誕生、親の離婚など)
- 親子関係の緊張
- 家庭内の不和が子どもの不安を高めている
本人に関すること
- 不安・緊張が強い: 分離不安、社交不安、全般性不安
- 無気力: 何に対してもやる気が出ない状態
- 体調不良: 朝の腹痛、頭痛、吐き気(心因性のこともある)
- 発達特性: ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD、LD(学習障害)など
- 起立性調節障害: 朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感(思春期に多い)
- HSC(ひといちばい敏感な子): 刺激に対する感受性が高く、学校の環境が負担になりやすい
複合的な要因
多くの場合、上記の複数が重なっています。「なぜ行けないの」と問いかけても、子ども自身が理由をうまく言語化できないことが少なくありません。「理由がわからない」のも、ひとつの答えです。
早期のサインを見逃さない
不登校が始まる前に、多くの場合「予兆」が見られます。以下のようなサインに気づいたら、早めに子どもの気持ちに寄り添いましょう。
行動面のサイン
- 朝起きるのが極端に辛そうになる
- 「お腹が痛い」「頭が痛い」と日曜の夜や月曜の朝に訴える
- 学校の持ち物の準備をしなくなる
- 友だちの話をしなくなる、または特定の子の名前を嫌がる
- 「行きたくない」と直接言い始める
情緒面のサイン
- 表情が暗い、笑顔が減る
- イライラしやすくなる
- 急に甘えるようになる(退行)
- 夜なかなか眠れない、夜中に目が覚める
- 食欲の変化(食べなくなる、または食べすぎる)
身体面のサイン
- 原因不明の頭痛や腹痛が続く
- 微熱が続く
- 朝の吐き気
- 倦怠感が強い これらのサインが見られたとき、「怠けている」「仮病だ」と決めつけるのは避けてください。身体症状は心のSOSの表れであることが多く、本人も本当に辛いのです。
「行きたくない」と言われた最初の日にすること
ある朝突然「学校に行きたくない」と言われたら、多くの保護者はパニックになります。でも、この最初の対応がとても重要です。
まずやること
- 深呼吸する(親自身が冷静になる時間をとる)
- 「そうなんだね」と受け止める(否定も肯定もせず、まず聴く)
- 理由を無理に聞き出さない(「なぜ」と詰めると追い詰めてしまう)
- 「今日はどうしたい?」と聞く(本人に選ばせる)
- 学校に連絡する(「本人が辛そうなのでお休みします」でOK)
避けたいこと
- 「みんな行ってるのに」「将来どうするの」と脅す
- 無理やり車に乗せて学校に連れて行く
- 「明日は行くよね?」と約束させる
- 「お母さんが悲しい」と感情で訴える
- すぐに原因を特定しようとする
1日休んだ後の対応
翌日また「行きたくない」と言うかもしれません。あるいは「今日は行く」と自分から言うかもしれません。
- 行けた場合:「行けたね」と一言だけ。大げさにほめない(次に行けなかったときとのギャップが辛くなる)
- 行けなかった場合:「今日もお休みにしよう。何かしたいことある?」と日常を整える
- 数日続く場合:学校の担任やスクールカウンセラーに状況を共有する
家庭でできるサポート
1. 安心できる居場所をつくる
家が子どもにとって安全な場所であることが最も大切です。「学校に行かなくても、あなたは大丈夫」「ここにいていいんだよ」というメッセージを、言葉と態度で伝えましょう。 具体的には:
- 「学校に行けない自分はダメだ」と感じさせない
- 普段通りの会話をする(腫れ物に触るような態度は逆効果)
- 一緒にご飯を食べる、テレビを見る、散歩する——日常の共有が安心感になる
- 子どもの好きなことを一緒に楽しむ時間をとる
2. 子どもの話を聴く
「なぜ行かないの」と問い詰めるのではなく、子どもが話したいタイミングで、批判せずに耳を傾けます。 聴き方のポイント:
- 子どもが話し始めたら、手を止めて向き合う
- 「それは辛かったね」「そう感じたんだね」と感情を言葉にしてあげる
- アドバイスしたくなっても、まずは最後まで聴く
- 「話してくれてありがとう」と伝える
- 沈黙も大切。無理に言葉を引き出さなくてもいい
3. 生活リズムを緩やかに整える
不登校が長引くと、昼夜逆転になりやすいです。完全に直す必要はありませんが、食事や睡眠のリズムを少しずつ整えていきましょう。 ゆるやかな整え方:
- 朝は声をかけるが、起きられなくても責めない
- 三食できるだけ決まった時間に(食卓に座るだけでもOK)
- 日中に外の光を浴びる機会を作る(庭に出る、買い物に行くなど)
- 夜のスマホ・ゲームは時間を決める(ただし一方的な禁止は反発を招く)
- お風呂に入る習慣は維持する(身体を清潔にすることで気分も整う)
4. 学習面のサポート
「勉強の遅れ」は保護者にとって大きな不安材料ですが、子どもが安定するまでは無理に勉強させる必要はありません。心のエネルギーが回復してきたら、少しずつ学びの機会を提供していきましょう。 段階的なアプローチ:
- 最初は本人の興味があることだけ(ゲーム攻略、料理、絵、プログラミングなど何でもOK)
- 少し余裕が出てきたら、オンライン教材やタブレット学習を提案
- 「やらなきゃ」ではなく「やってみたい」の気持ちを待つ
学校との連携
担任の先生との関わり方
学校との連絡は途切れないようにしましょう。ただし、毎朝の「今日も休みます」電話が保護者の大きな負担になっていることも事実です。 負担を減らす工夫:
- 「しばらくお休みが続くと思いますので、連絡の方法を相談させてください」と伝える
- 毎朝の電話ではなく、週1回の連絡にする、メールやアプリでの連絡に切り替えるなど
- 先生から子どもへの手紙やプリントは「渡すが、見るかどうかは本人に任せる」
スクールカウンセラー(SC)の活用
多くの学校にスクールカウンセラーが配置されています(週1〜2日程度)。
- 子ども本人が会いたくなければ、保護者だけでも相談可能
- 予約が必要な場合が多いので、早めに問い合わせる
- 学校に行かなくても、別室や放課後に面談できる場合もある
- SC経由で外部の専門機関を紹介してもらえることも
学校の支援体制を確認する
- 別室登校(保健室登校): 教室には入れないが、保健室や相談室に登校する
- 部分登校: 好きな授業だけ出る、午後だけ来るなど
- 校門タッチ: 校門まで来るだけでも「出席」扱いにしてくれる学校もある
- 放課後登校: 他の生徒がいない時間に先生と会う 学校によって対応は異なります。遠慮せずに「うちの子に合った方法はありますか」と相談してみてください。
学校以外の学びの場
2017年に施行された「教育機会確保法」により、学校以外の学びの場も正式に認められています。「学校に戻ること」だけがゴールではありません。
フリースクール
不登校の子どもを受け入れる民間の教育施設です。
- メリット: 少人数、自由な雰囲気、子どものペースを尊重、同じ経験を持つ仲間ができる
- 注意点: 費用がかかる(月3〜5万円程度が多い)、質や方針はスクールによって大きく異なる
- 出席扱い: 学校長の承認があれば、フリースクールへの通学を「出席」扱いにできる
- 選び方: 見学や体験に参加して、子ども本人が「ここなら行ける」と感じるかが最重要
教育支援センター(適応指導教室)
自治体が設置する公的な施設で、不登校の児童生徒を対象としています。
- メリット: 無料で利用できる、出席扱いになることが多い、学習支援や体験活動がある
- 注意点: 自治体によって設置状況や内容が異なる、定員がある場合も
- 利用方法: 学校を通じて申し込むか、直接教育委員会に問い合わせる
オンライン学習
自宅で学べるオンラインの選択肢も増えています。
- オンラインフリースクール: 自宅からビデオ通話で参加。人と会うのが辛い段階でも参加しやすい
- 通信教育: タブレット教材やプリント教材で自分のペースで学習
- オンライン家庭教師: 1対1で学習支援を受けられる
- 出席扱い: ICTを活用した自宅学習も、一定の条件を満たせば出席扱いにできる制度がある
ホームスクーリング
家庭を拠点に保護者が教育を行うスタイルです。日本ではまだ一般的ではありませんが、教育機会確保法の趣旨に沿った選択肢のひとつです。
- 子どものペースに完全に合わせられる
- 教材は自由に選べる(教科書、市販ドリル、オンライン教材など)
- 社会性の確保が課題(地域の活動や習い事で補う)
法的な権利を知っておこう
「教育の義務」は「学校に行く義務」ではない
憲法第26条が定める「教育を受けさせる義務」は、保護者に課された義務であり、子どもに「学校に行く義務」があるわけではありません。子どもが持っているのは「教育を受ける権利」です。 教育機会確保法(2017年施行)の主なポイント:
- 不登校は「問題行動」ではない
- 学校以外の場での学びを認める
- 「休養の必要性」を法律で明記
- 子ども一人ひとりの状況に応じた支援を行う
出席扱いの制度
以下の場合、学校長の判断で「出席扱い」にできます:
- フリースクール等への通所
- ICTを活用した自宅学習(一定の条件あり)
- 教育支援センターへの通所 出席扱いの認定を受けるには、学校との連携が不可欠です。担任や管理職に相談し、必要な手続きを確認しましょう。
進学への影響
「不登校だと高校に行けないのでは」という不安は多くの保護者が持っています。
- 公立高校: 欠席日数が多い場合、調査書(内申書)に影響する可能性はあるが、自己申告書や面接で事情を伝えられる制度がある地域も多い
- 私立高校: 学校によって対応は様々。不登校経験者を積極的に受け入れる学校もある
- 通信制高校: 自分のペースで学べる。近年は質の高い通信制が増えている
- 高等専修学校: 実技や実習中心で、座学が苦手な子に向いている
- 高卒認定試験: 高校に通わずに大学受験資格を得られる
再登校に向けて
子どものエネルギーが回復してきたら、少しずつ外の世界とのつながりを広げていきます。ただし「学校に戻ること」が唯一のゴールではないことを忘れないでください。
再登校のステップ(例)
段階を踏むことが大切です。一気に元通りにしようとすると、また辛くなってしまいます。
- 外出できるようになる: 買い物、散歩、図書館など
- 学校以外の人と関わる: 習い事、フリースクール、親戚の家
- 学校に短時間行ってみる: 放課後に先生に会う、保健室だけ
- 好きな授業だけ出る: 体育、図工、音楽など
- 半日登校: 午前中だけ、給食まで
- フル登校: 本人のペースで
うまくいかなくても大丈夫
「先週は行けたのに今週はダメだった」——行きつ戻りつは当たり前のことです。後退したように見えても、確実に前に進んでいます。
- 「行けなかった日」を責めない
- 「行けた日」を過度にほめない(次に行けなかったときのプレッシャーになる)
- 「今日はどうだった?」と自然に聞く
- 波があることを保護者自身が受け入れる
保護者自身のケア
お子さんの不登校に、保護者も大きなストレスを感じるのは当然のことです。「私の育て方が悪かったのか」と自分を責めてしまう方も少なくありません。でも、不登校は保護者のせいではありません。
保護者が抱えやすい感情
- 「なぜうちの子だけ」という孤立感
- 「将来どうなるのか」という不安
- 「もっと早く気づいていれば」という後悔
- 周囲からの「甘やかしすぎでは」という言葉への傷つき
- 仕事との両立への焦り
ケアのためにできること
1. 親の会に参加する 同じ経験を持つ保護者と話すことは、大きな支えになります。「自分だけじゃなかった」と感じるだけで、気持ちが楽になることがあります。
- 地域の「不登校の親の会」(自治体の教育委員会に問い合わせ)
- NPOが運営するオンラインの親の会
- SNS上のコミュニティ(ただし情報の取捨選択は慎重に) 2. 専門家に相談する
- スクールカウンセラーは保護者の相談にも応じてくれます
- 自治体の教育相談窓口
- こども家庭センター
- 保護者自身のカウンセリング(心療内科やカウンセリングルーム) 3. 自分の時間を確保する 子どもが家にいると、保護者の一人の時間が減りがちです。でも、保護者が疲弊しては子どもを支えることもできません。
- 子どもが安定しているときに、短時間でも外出する
- 趣味や友人との時間を罪悪感なく楽しむ
- パートナーや家族と役割分担をする
周囲への伝え方
学校の保護者仲間や親戚に状況を説明するのが難しいと感じる方も多いでしょう。
- 全員に詳しく話す必要はない
- 信頼できる人にだけ話す
- 「今は子どものペースを大事にしている」と簡潔に伝える
- 不要なアドバイスには「ありがとう、いろいろ考えてみるね」で受け流してもOK
不登校経験者のその後
「不登校の子は将来どうなるの?」——これは保護者にとって最も切実な疑問かもしれません。 文部科学省が実施した追跡調査では、不登校を経験した人の多くが、その後進学や就職をしていることがわかっています。「あのとき休んだことが、自分を見つめ直すきっかけになった」と振り返る方も少なくありません。 大切なのは、不登校の期間を「空白」ではなく「自分と向き合う時間」として捉えること。学校に行けなかった時期に培った力(自分で考える力、自分の気持ちに向き合う力、多様な価値観への理解)は、その後の人生で必ず活きてきます。
相談先一覧
- 学校のスクールカウンセラー: 学校を通じて予約
- 教育支援センター(適応指導教室): 各自治体の教育委員会に問い合わせ
- こども家庭センター: 各自治体に設置
- 児童精神科・心療内科: かかりつけ小児科からの紹介も可能
- 24時間子供SOSダイヤル: 0120-0-78310
- チャイルドライン: 0120-99-7777(18歳まで)
- 不登校の親の会: 各地域のNPOや自治体の情報を確認
大切なお知らせ: この記事は公的機関や専門家の発信情報をもとに編集部がまとめたものです。お子さま一人ひとりの状況は異なりますので、専門の相談窓口をご活用ください。
相談できる窓口
| 窓口 | 連絡先 | 対応時間 |
|---|---|---|
| こどもの救急 | #8000 | 夜間・休日 |
| 児童相談所 | 189 | 24時間 |
| 子育て支援センター | お住まいの市区町村 | 平日日中 |
| かかりつけ小児科 | ー | 診療時間内 |
この記事のまとめ
不登校への向き合い方:原因理解と家庭でできるサポートについて、文部科学省とこども家庭庁などの公的情報をもとに解説しました。
ポイントの振り返り:
- 教育機会確保法の成立により、学校以外の学びの場も正式に認められ、不登校の子どもへの支援の選択肢が広がっています
- 不登校の背景は多様であり、原因をひとつに特定できないケースが多いとされています
- 不安があれば専門家への早めの相談が大切
子育てに唯一の正解はありません。お子さんの個性を大切にしながら、この記事が日々の参考になれば幸いです。
大切なお知らせ: この記事は公的機関の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめたものです。お子さまの個別の状況については、かかりつけ医や専門家にご相談ください。

